裁判所事務官の面接は、私が経験した官庁訪問の面接、市役所の面接を合わせた中で、一番難しかったと同時に、面白く感じた面接でもありました。面接が終わった時は、テキパキ答えたわけでもなく、考える時間も長かったので評価は微妙だろうなと思いましたが、最終合格していました。内容は、事前に書ける面接カードに関する質問と基本的な事柄だけでしたが、それぞれの質問に対してかなり深く突っ込まれました。他の面接では、質問に対してこちらが答えてそれで終わりか、答えに対してもう一つ質問される程度でしたが、裁判所事務官の面接では、質問に対して答えて、それに対して質問されて、答えてというサイクルが3度4度は普通に続き、苦労しました。質問内容自体は、簡単なものでしたが、深く突っ込まれたため事前に用意していた回答だけでは足りず、その場で考えて答えるようにしました。「うーん、そうですねー」とか言いながら時間を稼ぎ、すぐ答えたわけでもなく、また、自分の性格に対して、「〜さきほど〜と言ってましたが、それでは今言った性格ではなく〜な性格なのではないですか」と質問され、「〜な部分もあるかもしれません」といったような曖昧な答え方をした部分もありました。想定質問と用意した回答ではどうしようもならず、途中からもう正直に答えて、質問にもその場で考えて正直に答えるといった形に方針転換しました。面接の最初に、面接で作ったあなたを見せたりせずに正直な自分を見せてくださいといったようなことを言われたので、その方針転換が良かったのかもしれません。
面接の時間は大体40分間くらいと他の面接に比べるとかなり長かった印象です。ただ、私の前の人は、15分くらいで面接が終わっていたので、筆記試験の成績や面接の最初の受け答えの様子を見て、面接の時間を変えているのかもしれません。
面接カードで指定されて書いた内容は、次の通りです。志望動機、裁判所職員としての抱負(取り組んでみたい仕事、あなたが貢献できること等)、趣味特技、加入したクラブ活動サークル活動等の集団活動、長所、短所、これまで個人として取り組んできた活動や経験、目標達成に向けて周囲と協力して取り組んだ活動や経験、自己PR。
基本的に面接カードで指定されている内容に関して面接で聞かれました。志望動機は面接カードに書いたことを言うと、綺麗事すぎて見透かされたのか、他にないですかと聞かれ、他にも本当に思っていた無難なことを3つほど(大学院まで法律を学んできてそれを行かせる職場で働きたいこと、お金を出してくれた両親に対して法律関係の職場で働くことで報いること、HPのインタビューなどを読んで魅力を感じたこと)答えました。志望動機と同様に、他の項目についても、「他には?」と聞かれることも多かったです。司法試験を受けなかったことに対しては突っ込まれると思ったのですが、意外にも「成績的に受かりそうもなかったので、公務員試験に転向しました」の回答で突っ込まれませんでした。ただし、他の併願先との整合性について問われたので、他の併願先の志望理由を答え、就職はしないといけないので他の公務員試験も受けただの、裁判所の志望理由とは異なるが先に説明した志望理由から、裁判所が第一志望ですというようなことを答えました。
職員として取り組んでみたい仕事については、パンフレットのインタビューを見て、事務官は裁判所利用者の最初の窓口であり、丁寧にわかりやすく対応する必要があるというようなことを強調する感じで書いてあるところがあったので、初めて裁判所に訪れる人が安心して裁判に臨めるようにしたいという方向で詳しく言いました。この質問と回答のやりとりの最中に、「裁判所に訪れた人に詳しく説明していいのか?」というような質問があり、意図をつかみかねましたが、「裁判所なので、どちらか一方に肩入れすることはできないが、初めて裁判所を利用する人に対して、不安を解消するように手続き的なことは丁寧に説明しするようにしたい」というような回答をすると「そうそう」と勝手に納得していましたので、裁判所は中立の立場であるという基本的なことが分かっているのかというような確認も面接でされていたのかとあとで考えて思いました。書記官に関してのことも聞かれるかと思っていましたが、将来書記官になりたいかなどとも聞かれませんでした。事務官が何をするかわかっているかという基本的な質問もされました。事務官の仕事内容については、面接対策1で紹介した

一番長い時間を使われたのが、長所と短所に関する質問です。長所や短所と個人集団として取り組んできた経験を絡めて聞かれました。長所、短所それぞれに関して細かく質問され、また長所短所と取り組んできた経験との整合性があるかどうかなどを確かめているのか、詳しく質問されました。ここでも、長所、短所を根拠づけるような経験があったのかを「他には?」という形でいくつか聞かれ、また、自分の長所短所をどう思っているかや、短所をどう克服したいと思っているか、短所が仕事面でどのように足を引っ張ると思うか、そのときどうするつもりかなど深く突っ込まれました。取り組んできた経験に関しては、なぜそうしたのか、どのように行動したのか、そのときどう思ったのかなども聞かれ、同時に、「今言ったことは、先ほどの長所短所で言ったことと違うのではないか?」「今のことを聞くとあなたには〜なところがありそうだが、そういう性格もあると思うか」など、突っ込まれたり、質問が行ったり来たりして、もう想定質問と回答は全く役に立たないような状況でした。
その他、面接カードになかった質問として、今までで失敗といえることはなにかということと、今までに怒ったことはあるか、大学時代に勉強は真剣にしたか、交通違反歴などのいくつかの質問がありました。
他の公務員試験の面接と異なり、全体的にどの回答に対しても深く突っ込み、本当に面接カードに書いている長所や短所があるのかや、受験生の人間性を見ている面接だという印象でした。質問自体はかなり突っ込んでくるものでしたが、すべて否定してくるというような圧迫面接ではなく、受験生の人間性を理解しようとしているのだなと思える質問だったので、面接の最中に私自身も考えながら正直に答え、またそのやりとりが面白く感じられる試験でもありました。真剣に答えつつも、笑いもあったりして和やかな部分もありました。
どのような面接をすれば高評価を貰えるのかわかりませんが、あまり作りこみすぎず、常識の範囲内で正直に答えるのがいいのではないかと思います。